2010年5月9日日曜日

2015年のサービス産業

(著:野村総合研究所)

日本のサービス業の生産性(①)があがらない要因を分析。そこから、どうすれば生産性をあげられるのか?を課題にしている。そこで、実際に生産性をあげることに成功している企業、団体を分析することで、今後のサービス産業の未来に必要な要素を抽出している。

①生産性 : 経済学で、生産活動に対する生産要素(労働・資本など)の寄与度のこと。あるいは資源から付加価値を生み出す際の効率の程度のこと。生産性=アウトプット/インプット


1.ブランド戦略
サービス業は提供するモノが無形性であるがゆえにブランド化や差別化が難しいとされている。しかし、市場のニーズを先取りし、確固たる理念を発信し続けることで、この壁を越えてきた企業を紹介し、突破口を見出している。その中で私は、ブランドの方向性を示す価値、その価値を顧客に伝達する組織の構築力(どのように組織するか、ノウハウ)が重要だと感じた。


2.顧客アプローチ戦略
企業が目指すべき目標「持続可能な競争優位」の源泉には「違いを作ること」がある。そのアプローチとして「他社と違うところに自分を位置づける」「他社と違う経営資源を持つ」といった手段がある。ここでは、顧客という経営資源をうまく使って、生産性をあげた企業を例に分析を行っている。自社の顧客が誰なのか(細分化して考える)、自社の顧客のニーズが何なのかを徹底的に考える。そこから、顧客との強力なパートナーシップが構築されていくのだと感じる。また、クラウドソーシング(②)という手法の面白さと新規性が、今後のサービス産業に影響を与えるかもしれないと私は考えた。

②クラウドソーシング : 不特定多数の人に業務を委託するという新しい雇用形態。ウェブサービスのトレンドの一つでもある。


3.業務プロセス改革(=ビジネスプロセス・リエンジニアリング)
サービス業は、モノの「無形性」、生産と消費が同時に行われる「同時性」という2面性から、業務プロセスを細分化することが困難に感じられる。しかし、ターゲットとする顧客の本当のニーズを見極め、自社の理念(ミッション)に沿った経営資源の選択と集中を行わなければならないことが理解できる。


4.人材マネジメント戦略
社員モチベーション再生の組織戦略「VOICEモデル」に沿った分析を行っている。
V:バリューアプローチ 価値感の共有による組織の一体感
O:オポチュニティアプローチ 学習・自己成長・挑戦等による成長機会のデザイン
I:イノベーションアプローチ 従業員の創造性と企業家精神をひきだす
C:コミュニケーションアプローチ 仕事の情熱等を語りあう機会のデザイン
E:エンパワメントアプローチ 社員権限の適切な付与、職場環境のデザイン

組織、人材マネジメントによる影響が大きいサービス産業であるからこそ、この戦略は無視できない重要事項だと私は感じた。


5.サービス産業の海外展開
サービス業は、他の業界(例えば、製造業等)に比べ海外展開が大きく遅れている。これは、国内市場での満足感、企業経営の暗黙化、海外展開ノウハウの欠如が大きな要因だと考えられている。ここでは、いくつかの解決策が述べられているが、私が重要だと感じたのは以下のことである。まずは、市場を大きすぎる塊で見ないこと、平均値で見ないこと、消費スタイルの変化の早さを察知することの3点である。例えば、中国を例にとるならば、中国-上海-富裕層-富裕層の子供達-一定偏差値以上の大学に通う20代のようにセグメントしていくと海外展開していきやすいのかも知れないと思った。また、現地の商習慣に対応した人材マネジメントだ。中国、韓国、台湾では社員を人前ではしかってはいけないという事を初めて知った。このように細かい事まで気を配ることがプロの経営者なのではないか。


【この本を読んで重要だと感じたこと】
サービス業の特性、性質をしっかりと理解し、その上でロジックにとらわれない構想力が重要であること。そして、その構想の仮説検証を繰り返すこと。また、経営資源(顧客、従業員、ノウハウ)を蓄積していくこと。これにより、持続可能な競争優位が実現できる可能性が広がるのだと感じた。

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